タイ中部のアントン県で13日午前6時半ごろ、日本人男性の吉岡和雄さん(84)が自宅2階の寝室で、首から血を流して死亡しているのが見つかった。現地の内縁の妻ポラニー・ナパドルさん(48)が発見した。現地紙「バンコク・ポスト」などが報じた。
ポラニーさんによると、吉岡さんは仕事をリタイアしタイと日本を行き来して生活しており、6日前にタイに戻ってきた。ポラニーさんは普段、吉岡さん宅で暮らしていたが、たびたび近くに住む自分の母親の面倒を泊まりがけでみていた。12日は母親宅に泊まっており、吉岡さん宅に戻ってきて、遺体を発見した。
吉岡さんは約300メートル離れた家に住んでいるポラニーさんの弟(46)と日頃から金銭トラブルがあったという。弟宅のごみ箱から血のついたハサミや吉岡さんのニット帽などが見つかった。弟は行方不明だという。
タイ事情通は「タイへの高齢移住者の多くが、移住あっせん業者から『退職金でプール付きの豪邸に住めます』『日本人がたくさん住んでいますから安心です』と言われ、都会からちょっと離れた田舎にもかかわらず、現地に行かずに決めてしまう。しかし、タイに住んでいる日本人の多くは企業の駐在員で、会社が用意したセキュリティーがしっかりしたバンコクの高級地区のマンションに住んでいます。高齢者リタイア組とは接点がありません」と指摘する。
吉岡さんはバンコクから車で2時間ほどの場所の一軒家に住んでいた。
夢の老後生活では「日本で働いた経験があり、日本語ペラペラの中年タイ女性にコロッと参ってしまう」(同)。また、タイ女性と結婚する最大の難問は親戚付き合いだという。
「日本人を金ヅルとみているので、親戚一同がカネを“借り”に来て、カネをばらまかないと『ケチ』と言われ、別れをちらつかされる。カネの切れ目が縁の切れ目となります。またタイ男性は働かない人も多く、しょっちゅうカネをせびりに来るトラブルが多い」と同事情通は話している。