小さい頃・・・。
お外に興味津々だったくるさんはある日脱走してしまいました。
初めてのお外。ニクキュウにあたる土の感じが不思議。
ママが帰っておいでと呼んでるけど、心配しないで大丈夫。
お外はとっても楽しいね。
・・・とその時、ガガガッって大きな音が・・・。
くるさんはとっさにパニックです。訳もわからず無我夢中で逃げてしまいました。
気がついたときにはそこは知らないところ。
ママの声も聞こえない。帰り道もわからない。どうしよう・・・
周りはだんだん暗くなって、寒くなってきた。
おなかも空いてきた。帰りたいよぅ。
でもどうやってったらいいのかわからずウロウロするばかりのくるさん。
がんばったけど、おうちはなかなか見つからない。
たどり着いたのは知らないお家の知らないお庭。
疲れきったくるさんは一晩ここに泊まらせてもらうことにしました。
初めて過ごす一人っきりの夜。
寂しくて、寒くて・・・。
またおうちに帰れるのかな…。
くるさんが目覚めるとしとしと雨の降る朝でした。
でも立ち止まっているわけには行きません。
おうちに帰らなきゃ!
歩き出したくるさんは遠くでママの声が聞こえた気がしました。
ママ!私ここだよ。ここにいるよ。
必死で叫んだけど、ママの声は遠ざかって行ってしまいました。
そしてまた辺りが暗くなってきました。
私このままどうなっちゃうんだろう?
おなかももうペコペコなの。帰りたいよぅ。
その時、『くるみー!くるちゃんどこ?』
確かに聞こえました。ママの声。
その後からパパの声も聞こえます。
すぐそばで声がする。
あの角の先から聞こえてる。
ちょっと顔を出してのぞいてみる。
そこには懐かしいパパと泣きそうな顔のママ。
探しに来てくれたの?会いたかった。
そう話しかけたらママが振り向いた。気づいてくれた。
パパがあわてて駆け寄ってくる。
怒られちゃうかもってとっさに後ずさりしたけど、パパに捕まってママに渡されちゃった。
ママは私のことを痛いくらいぎゅっと抱きしめて、手のひらからご飯を出してくれた。
ママったらご飯握り締めてきたのかな?このご飯あったかいよ。でもおいしい。
2日ぶりにおうちに帰ったくるさんは、ようやく安心して眠ることができました。
今日はママと一緒にお布団の中でぬくぬくです。
ママ、ごめんね。ママの言うこと聞かなくって。
もう絶対無茶はしないよ。
って約束してくれたかどうだか、あれ以来窓からお外は見るけれど、お外に出たいとは言わなくなりました。
小鉄と一緒にお散歩に行こうとリードを付けてあげても、外に出た途端がたがた震えて、縮こまっちゃいます。